血統主義と出生地主義
国籍取得のタイミングは出生時と帰化申請時があります。帰化申請は本人の意思表示に基づき取得しますが、出生時は本人の意思表示なく取得することになります。その際どの国籍を取得することになるでしょうか?実は国ごと取得ルールが定められ、大別すると「血統主義」と「出生地主義」という考え方に分かれます。
 ◆血統主義 :親の国籍が生まれてきた子供に与えられるという考えで、その与え方にはさらに2つに分かれます。
        ①両親のどちらかの国籍を選択できる「父母両系血統主義」
         (日本、中国、韓国、インド、ドイツ、フランスなど)
        ②父親の国籍が優先的に付与される「父系優先血統主義」
         (イラン、イラク、インドネシアなど) 
        ※1979年に国連で女子への性別差別撤廃の条約が採択され、日本は1984年に父系優先血統主義から父母両系血統主義に変更
 ◆出生地主義:親の国籍に関係なく、出生地主義を採用している国で生まれた子供は、その国の国籍が付与されるという考え。
         (カナダ、アメリカ、ブラジル、アイルランド、タンザニア、パキスタン、バングラディシュなど)
グローバル化の進展に伴い国際結婚が増え、「両親とも血統主義だが国籍が異なる場合」や「血統主義の夫婦が出生地主義を採用している国で出生する場合」「出生地主義の母親と血統主義の父親が母親の母国で出生する場合」など様々なケースが見受けられるようになりました。そのような場合、子供が複数の国籍を取得する場合もあります。二重国籍を認めている国であればいいのですが、日本のように認めていない国では出生時に「国籍留保の届出」を行い選択までの猶予を与えられ、一定の年齢までにどちらかの国籍を選択し届ける義務が発生します。
こうしたルールは二者択一なのかと言うとそうでもありません。例えば両親が不明な子供が血統主義の国で生まれた場合、無国籍になってしまいます。そうしたことを防ぐために、血統主義の国において補完的に出生地主義を採用するといったハイブリッドとなっている国もあります。
国ごとにルールがバラバラで非常に複雑ですね。。。 ロシアなど届出を怠ると罰則となる国もあります。
子供の権利や保護も国籍により異なり、人生に影響を与えかねないので慎重かつ確実な対応が求められます。
お困りの方は是非ご相談下さい。
      

