技人国ビザで求められる日本語能力とは?4つの日本語試験を比較
在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、主に言語能力を用いて対人業務に従事する場合、日本語能力を証明する資料の提出が求められることがあります。
特にカテゴリー3またはカテゴリー4に該当する所属機関において、翻訳・通訳やホテルフロント業務等、日本語能力を用いた対人業務に主に従事する場合は、日本語能力を証明する資料の提出が必要となります。
日本語能力を証明する方法として、次の4つの試験が挙げられます。
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上
- BJTビジネス日本語能力テスト400点以上
- 日本留学試験(EJU)の日本語科目で200点以上
- JPT日本語能力試験525点以上
これらの試験は、いずれも日本語能力を測定するものですが、試験の目的や出題内容、評価方法には違いがあります。
1.4つの日本語試験の比較
| 試験名 | 基準となる成績 | 主な測定内容 | 試験の特徴 |
|---|---|---|---|
| 日本語能力試験(JLPT) | N2以上 | 言語知識・読解・聴解 | 日本語の総合的な理解力を測定 |
| BJTビジネス日本語能力テスト | 400点以上 | 聴解・聴読解・読解 | ビジネス場面での日本語コミュニケーション能力を測定 |
| 日本留学試験(EJU) | 日本語科目の読解・聴解・聴読解の合計200点以上 | 読解・聴解・聴読解 | 大学での学習に必要な日本語能力を測定 |
| JPT日本語能力試験 | 525点以上 | 聴解・読解 | 日本語の聞き取りや読解を中心に、コミュニケーション能力を測定 |
※上記は、日本語能力の証明に用いられる基準の比較です。各試験の点数は評価方式が異なるため、単純に点数だけで難易度や日本語能力を比較することはできません。
2.日本語能力試験(JLPT)
試験の概要
日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人を対象に、日本語の能力を測定する試験です。N1からN5までの5段階に分かれており、N1が最も難しいレベルです。
技人国の言語能力に関する基準では、N2以上が一つの目安となります。
試験内容
JLPTは、次の分野から構成されています。
- 言語知識: 漢字、語彙、文法などの知識
- 読解: 説明文や文章などを読み、内容や情報を理解する力
- 聴解: 会話や説明を聞き、内容や話し手の意図を理解する力
N2の試験時間は、言語知識・読解が105分、聴解が50分です。
JLPTでは、文字や語彙、文法の知識に加えて、文章を読み解く力や、音声から情報を理解する力が評価されます。
JLPTの特徴
JLPTは、国内外で広く知られている日本語試験です。日本語の基礎知識から読解・聴解まで、総合的な理解力を証明したい場合に利用できます。
公式サイト:日本語能力試験(JLPT)
3.BJTビジネス日本語能力テスト
試験の概要
BJTビジネス日本語能力テストは、ビジネスの場面で必要となる日本語によるコミュニケーション能力を測定する試験です。
JLPTが日本語の総合的な理解力を測定するのに対し、BJTは、職場での会話や説明、資料の理解など、ビジネスに関連する場面での日本語運用能力に重点を置いています。
技人国の言語能力に関する基準では、400点以上が目安となります。
試験内容
BJTは、主に次の3つの分野から構成されています。
- 聴解: ビジネス場面での会話や説明を聞き、内容を理解する力
- 聴読解: 音声と図表・資料などを組み合わせて情報を理解する力
- 読解: ビジネスに関する文章や資料を読み、内容を理解する力
職場でのやり取りや、音声と資料を組み合わせた情報処理など、実際のビジネスコミュニケーションを想定した問題が出題されます。
BJTの特徴
BJTは、ビジネス日本語に重点を置いていることが特徴です。日本企業で働く際に必要となる、状況に応じた言葉の理解や、情報を正確に把握する力を測定します。
ビジネスの場面で日本語を使う予定がある方にとって、実務に関連する日本語能力を示す方法の一つです。
公式サイト:BJTビジネス日本語能力テスト
4.日本留学試験(EJU)
試験の概要
日本留学試験(EJU)は、日本の大学などへの留学を希望する外国人を対象に、日本語能力や基礎学力を評価する試験です。
日本語科目では、日本の大学で学ぶために必要な日本語能力、いわゆる「アカデミック・ジャパニーズ」を測定します。
技人国の言語能力に関する基準では、日本語科目のうち、読解・聴解・聴読解の合計で200点以上が目安となります。
試験内容
EJUの日本語科目は、次の3つの分野から構成されています。
- 読解: 文章を読み、内容や論旨を理解する力
- 聴解: 音声を聞き、必要な情報を理解する力
- 聴読解: 音声と図表などの情報を組み合わせて理解する力
日本語科目の試験時間は125分で、読解・聴解・聴読解の得点範囲は0~400点です。このほかに記述問題があり、0~50点で評価されます。
ただし、上記の200点という基準は、記述問題を含めた総合点ではなく、読解・聴解・聴読解の合計点についてのものです。
EJUの特徴
EJUは、大学での学習に必要な日本語能力を測定する試験です。講義や資料を理解するための日本語能力を評価する点に特徴があります。
すでにEJUを受験したことがある方は、成績証明書を確認し、対象となる3分野の合計点が基準を満たしているか確認するとよいでしょう。
公式サイト:日本留学試験(EJU)
5.JPT日本語能力試験
試験の概要
JPT日本語能力試験は、日本語を母語としない人を対象に、日本語によるコミュニケーション能力を測定する試験です。
技人国の言語能力に関する基準では、525点以上が目安となります。
JLPTのようにN1・N2などの段階で合否を判定する方式ではなく、得点によって日本語能力を評価する点が特徴です。
試験内容
JPTは、次の2つの分野から構成されています。
- 聴解: 写真描写、質疑応答、会話文、説明文など
- 読解: 正答探し、誤文訂正、空欄補充、文章読解など
合計200問で構成され、試験時間は約95分です。聴解と読解はそれぞれ495点満点で、合計990点満点となっています。
会話の内容を聞き取る問題に加え、文法や語彙の知識、文章の理解力などが問われます。
JPTの特徴
JPTは、聴解と読解を中心に日本語の理解力を得点で評価する試験です。JLPTのようなレベル別の合否判定ではないため、現在の日本語能力をスコアで確認したい方にも利用されています。
公式サイト:JPT日本語能力試験
6.どの試験を受験すればよい?
4つの試験は、いずれも日本語能力を証明する方法として利用できますが、測定する能力や試験形式が異なります。
- 日本語の総合的な理解力を証明したい方: JLPT
- ビジネス場面での日本語能力を重視したい方: BJT
- 日本の大学などで学ぶための日本語能力を測定したい方: EJU
- 聴解・読解を中心にスコアで能力を示したい方: JPT
すでにいずれかの試験を受験している場合は、まず成績証明書を確認し、該当する基準を満たしているか確認することをおすすめします。
なお、どの試験が適しているかは、受験者の日本語能力や学習経験、申請までのスケジュールなどによっても異なります。
7.日本語能力の証明で注意したいこと
技人国の申請では、日本語能力の基準を満たす試験結果があれば、必ず在留資格が許可されるというわけではありません。
在留資格の審査では、予定している業務内容や学歴・職歴、雇用条件など、ほかの要件も確認されます。
また、日本語能力に関する資料の提出が必要となるのは、すべての技人国申請に一律に求められるものではありません。特に、翻訳・通訳やホテルのフロント業務など、日本語能力を用いた対人業務に主に従事する場合には、申請する時点の最新の取扱いを確認することが大切です。
日本語能力の証明方法や必要書類は、申請内容や所属機関のカテゴリーなどによって異なる場合があります。申請前に出入国在留管理庁の最新情報を確認し、必要に応じて専門家に相談しましょう。
参考: 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
8.各日本語試験の受験日・会場・申込方法
技人国の申請に向けて日本語能力を証明したい場合は、試験の内容だけでなく、受験できる時期や会場、申込期限も確認しておきましょう。
4つの試験は実施方法が異なるため、申請までに必要な期間を考慮して選ぶことが大切です。
① 日本語能力試験(JLPT)
実施時期:年2回(7月・12月)
JLPTは、原則として毎年7月と12月に実施されます。日本国内では全国47都道府県が実施地となっています。
- 次回の試験日: 2026年12月6日(日)
- 受験料: 7,500円(税込)
- 申込方法: 公式サイトからMyJLPTに登録し、インターネットで申し込みます。
- 会場: 全国47都道府県。実際の試験会場は受験票で通知されます。
2026年12月実施分の申込受付は、9月7日で終了しています。これから受験を検討する方は、次回の実施日と申込期間を公式サイトで確認してください。
JLPTは申込期間が限られており、会場の都合で受付期間内に締め切られる場合もあります。受験を決めたら、早めに申し込むことをおすすめします。
公式サイト:JLPT 日本語能力試験
申込・日程情報:JEES 日本語能力試験
② BJTビジネス日本語能力テスト
実施時期:テストセンターの予約状況に応じて随時
BJTは、コンピューターを使って受験するCBT方式の試験です。定められた年2回の試験日を待つ必要がなく、テストセンターの営業日・空席状況に応じて受験日時を予約できます。
- 試験日: テストセンターの予約可能日から選択
- 受験料: 8,000円(税込・日本国内)
- 申込方法: Pearson VUEの専用サイトからアカウントを登録し、会場と日時を選んで申し込みます。
- 会場: 東京、横浜、大阪、名古屋、福岡などのテストセンター。最新の実施会場は予約サイトで確認できます。
試験時間は約2時間で、問題数は80問です。受験日を比較的柔軟に決められるため、申請のスケジュールに合わせて受験を計画しやすい試験です。
ただし、希望日に必ず受験できるわけではありません。また、一度受験すると、再受験は原則として受験日の3か月後以降となるため、再受験も想定する場合は注意が必要です。
公式サイト:BJTビジネス日本語能力テスト
申込・会場検索:Pearson VUE BJT予約サイト
③ 日本留学試験(EJU)
実施時期:年2回(6月・11月)
EJUは、主に日本の大学などへの進学を希望する外国人留学生を対象とした試験です。日本語科目の成績を、技人国の日本語能力の証明に利用する場合は、対象となる3分野の合計点を確認します。
- 次回の試験日: 2026年11月8日(日)
- 受験料: 日本国内では1科目のみ12,000円、2科目以上23,000円(税込)
- 申込方法: JASSOの「EJUオンライン」から申し込みます。
- 会場: 北海道、東京、神奈川、大阪、愛知、福岡など、国内の指定実施地で受験できます。
2026年度第2回の申込受付期間は7月30日で終了しています。次回以降の受験を希望する場合は、次年度の実施日と申込期間を公式サイトで確認してください。
なお、受験料は選択する科目数によって異なります。日本語科目以外の科目を受験する必要があるかどうかも含め、申込前に受験案内を確認しましょう。
公式サイト:日本留学試験(EJU)
日程・申込情報:EJU試験日程
④ JPT日本語能力試験
実施時期:年間12回程度
JPTは、年間12回程度実施されており、JLPTやEJUよりも受験機会が多い試験です。試験日ごとに申込期間や実施会場が設定されています。
- 次回の試験日: 2026年11月22日(日)
- 受験料: 7,700円(税込)
- 申込期間: 2026年10月28日まで(公式サイト掲載の第416回日程)
- 会場: 東京・大阪・愛知
- 申込方法: 公式サイトから案内される方法に従って申し込みます。
2026年12月20日(日)にも試験が予定されており、申込期間は11月20日までです。さらに、2027年1月24日(日)の試験も予定されています。
JPTでは、試験実施日や会場が回によって異なります。受験を希望する地域で試験が実施されるか、また申込期限に間に合うかを事前に確認してください。
公式サイト:JPT日本語能力試験
日程・申込情報:日本国内の試験日程
9.受験時期を選ぶ際のポイント
4つの試験を比較すると、受験機会や申込方法に次のような違いがあります。
| 比較項目 | JLPT | BJT | EJU | JPT |
|---|---|---|---|---|
| 実施頻度 | 年2回 | 予約制で随時 | 年2回 | 年12回程度 |
| 申込方法 | オンライン | オンライン予約 | オンライン | 公式サイトの案内に従う |
| 会場 | 全国47都道府県 | 全国の指定テストセンター | 国内の指定実施地 | 実施回ごとに設定 |
| 受験料(税込) | 7,500円 | 8,000円 | 12,000円または23,000円 | 7,700円 |
| 日程の柔軟性 | 限定的 | 比較的高い | 限定的 | 比較的高い |
※日程・受験料は2026年10月時点の公式情報に基づきます。今後変更される可能性があります。EJUの受験料は選択科目数によって異なります。
申請までの時間に余裕がない場合は、試験日だけでなく、成績の確認時期も考慮して選ぶことが大切です。 BJTは受験日を比較的柔軟に調整できますが、試験の予約状況や再受験の制限には注意が必要です。JPTも実施頻度が高い一方、会場や申込期限は試験回ごとに確認する必要があります。
また、試験に合格・到達しただけで在留資格の許可が保証されるわけではありません。日本語能力の証明が必要となる申請かどうかを確認したうえで、業務内容や学歴・職歴などの要件も併せて検討しましょう。
10.申請前に確認しておきたいこと
日本語能力の証明に使う試験を選ぶ際は、次の3点を確認しましょう。
- 日本語能力の証明が必要な申請かどうか
- 受験予定の試験が、申請において認められる証明方法に該当するか
- 受験日・成績確認日が、申請予定日に間に合うか
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の審査では、申請する業務内容や所属機関などによって確認事項が異なります。最新の出入国在留管理庁の情報を確認し、申請内容に応じて必要な資料を準備することが大切です。
日本語能力試験の取扱いは制度改正などによって変更される可能性があります。申請前には、出入国在留管理庁および各試験の公式サイトで最新情報を確認してください。
